講話内容

藤岡幸夫 首席指揮者 講話
日  時  平成24年7月6日(金)16:15〜19:40
場  所  弁天町市民学習センター
講  師  藤岡幸夫 関西フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者

講話内容
◆リーダーの条件
 イギリスの音楽大学にいたときBBCフィルを指揮するチャンスがあった。相手は40、50代の大ベテラン。若い指揮者のいうことなんか聞きはしない。リハーサルでビオラの首席が、僕がこうやってくださいというと嫌だと言う。彼はBBCの前は、ベルリンフィルにいたので「カラヤンからもそんなことは言われたことない。嫌だ」と言う。言われて僕は引き下がってしまった。
休憩時間に僕を応援してくれているプレーヤーが、十数人、やって来て、「Who are you?」と言う。おまえはカラヤンじゃないだろう、あんな引き下がり方をするな。そんなことしたら、誰もついてこなくなるぞと言われた。指揮者デビューの最初のリハーサルで言われたことに、今もすごく感謝している。指揮の極意というのは、指揮台の上で思うことだ。絶対、自分はこうやりたいと強く思うことなのだ。それはどんな世界のリーダーでも一緒だろう。ぶれるやつは駄目なんだ。

◆プロフェッショナルとは
 その後、マンチェスター室内管弦楽の首席指揮者になり、イングレット・ヘブラーと演奏する機会があったのだが、会場のピアノがぼろぼろだった。彼女は本番までの2時間半、ずっと、そのピアノを弾き込んで、そのピアノの癖を、体に覚え込ませていた。本番、モーツアルトのピアノ協奏曲の前奏が流れ、彼女がピアノを弾き始めたとき、もう、あり得ないぐらい素晴らしい音がした。みんな顔を見合わせた。僕は最初、ピアノを代えたのかなと思ったくらいだ。彼女が舞台袖に下がったとき、言った言葉が、「Off Course,I am professional.」当たり前でしょう、私はプロなんだから。これには驚かされた。

◆おまじない
 何か頭に来ることを言われて、ふざけんな、ばかやろうと思っても、そのときは、おまじないがある。心の中で、「それが男を磨くのよ」とつぶやくんだ。ここで、ふざけんな、ばかやろうと言ったらアウト。すねたり怒ったりしないで、グッと奥歯を食いしばって、男を磨くんだと心の中で思って、言われたことを肥やしにできるかどうかだ。


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