講話内容

藤岡幸夫 首席指揮者 講話
日  時 平成20年2月5日(火)16:00〜18:30
場  所 ORC2番街
講  師 藤岡 幸夫 関西フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者

講話内容
■指揮者として大切なこと
 私が師事した渡邉暁雄先生が、弟子入りして最初に仰ったのは、「指揮者は悪口を言われて当たり前。ただ、君は絶対に人の悪口を言ってはいけない。言われる側の人間になりなさい」というお言葉。謙虚に聞く耳を持つという教えであり、今でも大切にしている。
 指揮者の極意は、一言で言うなら「思うこと」。指揮台の上で迷ったら誰もついて来ない。自分が絶対にこうしたい、という思いを大事にしている。もちろんそこには自分なりの裏付けが必要だが、謙虚に聞く耳を大切にする一方で、ある種の頑固さも必要かもしれない。
 英国のBBCフィルでデビューした時のこと。ビオラ奏者に「こういう風に弾いて下さい」と言ったら、「今までカラヤンなど有名な指揮者と演奏してきたが、そんな風に指摘されたのは初めてだ」と。私は、「そうですか」と引き下がってしまった。すると、休憩中に私を応援してくれている団員が大挙してやって来て、「お前は誰だ?カラヤンではない、サチオ・フジオカだろう。そんなことで引き下がるな」と、ものすごく怒られた。思いや信念は大事だと教わった大切な体験だ。
■クラシック音楽の裾野拡大
 ヨーロッパで仕事をしていると、改めて日本はいい国だと感じる。ただ、経済のみならず、クラシック音楽の世界でも東京偏重が際立っている。欧米では、大都市だけでなく地方もしっかりとステータスを持っている。日本も一極集中を脱しなければ駄目だ、と思っていた時に関西フィルに出会った。
 首席指揮者としての私の役割は、クラシック音楽の裾野を広げていくことだ。特に地方公演に注力してきたが、単発の打上げ花火ではなく、点を線にしていきたい。今では、地方公演でクラシック音楽や関西フィルの良さを感じてくれたお客様が、遠くの公演会場まで足を運んで聴きに来てくれたりする。今後、更に面白くなっていくという手ごたえを感じている。
■思い続ける
 どうしたら指揮者になれるのか、とよく聞かれる。一番大切なのは、絶対になると思い続けること。諦めずになりたいと思い続けた人間だけが、成就するのだと思う。



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