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人間力養成講座 特別講義を開催しました

開催日:2011年6月06日

場所:関西経済同友会 会議室(中之島センタービル 28階)

テーマ:「私の見た日本と中国、中国・中国人とどう付き合うべきか」

講師:石平氏(評論家)

講話内容

◆現在の中国はどのような国か
 中華人民共和国は1949年に成立し、最初の27年間は毛沢東の時代であった。当初は常に革命の連続のような状態であり、前政権のエリートや知識人などの粛清が行われた。1966年からは、対抗勢力の失脚を狙ったいわゆる「文化大革命」が始まり、10年間で歴史、文化、伝統が完全に破壊されてしまった。一方、反政権的な言動の密告が奨励され、誰も相手を信じなくなるようなことが起こった。中国人は嘘をつくとかルールを守らないとか言われるが、その背景には、このような嘘をつかないと生きていけない時代、昔ながらの誠実さを重んじる文化などがすべて破壊された時代があり、その前後で中国人は全く変わってしまった。
 日本人は一般的な教養として、中国の論語から、君子という理想的な人間像を学んでいるため、中国人は君子だというイメージを持っているが、それは大きな間違いである。今の中国人の行動原理、精神構造は実利主義で、嘘をつくことがいいか悪いかではなく、嘘をつくことが自分に有利かどうかが問題となる。
 なぜ中国人が実利主義かというと、文化大革命で道徳倫理の伝統が破壊されたことがあるが、他に、中国の伝統的な宗教である道教に実利主義の考え方があったことがある。かつては、道教的な実利主義と、儒教の道徳倫理の教えでバランスが取れていたものが、文化大革命で儒教の文化が崩れ、道教的実利主義だけが表れているのが社会的現状である。

◆中国とどう付き合うべきか
 中国と付き合って行く場合は、一切の先入観を捨てて、相手は実利しか考えていないと割り切り、そのつもりで付き合ってゆくしかない。
 また、日本人には譲り合いの精神があり、こちらが一歩譲れば相手も何か譲ってくれるだろうという思いがあるが、そういう期待を持たない方がよい。主張すべきところは主張し、契約できちんと押さえてシビアに付きあうことで、ある意味安定した関係になる。

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