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人間力養成講座 第3回講義を開催しました

開催日:2012年6月07日

場所:関西経済同友会会議室

テーマ:「やってみなはれの『もの造り』」

講師:講演講師 鳥井信吾 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副社長

講話内容

◆企業文化を基にした発展
 企業は、確固たる企業戦略があって発展するところもあるが、サントリーは「企業文化」を基に存続、発展してきたように思う。1899年の創業時は、スペインワインの輸入と、炭酸飲料の製造・販売からスタートしたが、この「酒」と「飲料」がサントリー文化の原点となっている。紆余曲折はあったが、「酒と飲料」という基本的な商品領域は創業以来変わっておらず、創業時の鳥井信治郎の世界がそのまま発展して今のサントリーになっていると思っている。

◆ヒット商品を生んだチームづくり
 缶コーヒー「BOSS」の商品コンセプトを決める過程で編成されたチームでは、社内のデザイン担当、味や香りなどの中味設計担当、容器担当、コピーライターなどさまざまな担当者が入ったが、例えば、中味設計の担当者がデザインにも意見を出すなど、各々の専門領域を超えて自由な発想で喧々諤々の議論をしながら、商品化を進めていった。そのことが相乗効果を高め、価値の高いヒット商品につながったのだと思う。そしてそのチームこそがサントリーの社風、文化と言うことができる。

◆職人による美味の追求
 ヨーロッパでは、ビール醸造学という科学体系もあるが、科学はあくまでも1つの道具にすぎず、ビールの全体感のようなものは見て取ることはできない。「美味しいビールづくり」には科学だけではなく、美味への夢を追求する「職人」、そしてその職人を支える会社の社風文化が必要だと思っている。その道の専門家、「職人」がトライアンドエラーを繰り返し、彼らの感性で最終的な味わいや香りが決定される。

◆サントリーの文化
 サントリーの文化、社風といえば、創業者から受け継ぐ「やってみなはれ。やってみなわかりまへんやろ」である。前向きな失敗は問わず、やらざるの罪を問う。厳しくても温かいところがあって、社員の会社に対するロイヤリティーが非常に高い、といったところだろうか。また、「楽しいことが正義」「洒落た会社」ということも特長だろうと思う。そのような文化、社風が、創業以来100年以上培われてきて今のサントリーがあるのだと思う。

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