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人間力養成講座 第4回講義を開催しました

開催日:2005年7月21日

場所:関西経済同友会会議室(中之島センタービル28階)

テーマ:「よい社会、よい企業、よいリーダー」

講師:小林陽太郎 ゼロックス会長

講話内容

◆価値理念に基づくリーダーシップ
哲学者の今道友信先生が講話でお話されたことを紹介する。「初めに理念(イデア:idea)ありき」。理念とは、高いレベルの志を、自分が責任をもってリードしようとする組織の目指す最終的な高い目標として掲げることであり、それがまず必要である。次に、理念と現実の企業の具体的な行動とをリンクする、それが理想である。そこから、企業の組織の行動に下ろしていくためにはビジョンが必要であるが、そのビジョンは組織の構成員が本当に心から共有できるものでなければならない。そのためには最終的なビジョンを作るプロセスに構成員を参加させないといけないし、リーダーはビジョン作りの最終的なモデレーターの役割を果たさなければならない。

◆強いリーダーシップはトップダウンとは限らない
例えば、トップがビジョンを示して、下が無批判に受け入れたビジョンが長続きするはずがない。また、そんなビジョンが具体的な計画に展開されるはずがない。一番いいのは、結果的には皆が一緒になって作ったものである。最初に投げかけたのはトップであるかもしれないが、皆がこれだと思えるビジョンに、最終的に仕上がったのは、皆のおかげである。そういう形で認識をされる方が好ましい。

◆コミュニケーションの価値は受信側で決まる
重要なことは、メッセージというのは発した時の価値と受け取られた時の価値は違うということである。多くの場合、発した時の価値より受け取られた時の価値はかなり減衰している。減衰すること自体はある程度覚悟の上で、どういうふうに受け取られているのかということを、特に上の立つ者が発信をする時に常に気をつけなければならない。

◆パブリックをどう考えるか?
企業と社会だけではなくて行政も絡んで我々がじっくりと考えなければいけない非常に重要なテーマの一つは、公(おおやけ)、パブリックをどういうふうに我々は考えたらいいか、ということである。
パブリックな問題、地方のパブリックとして、あるいは全国のパブリックとして何が本当に大切か、ということをもっと共通のテーマとして議論する必要がある。わが地方における地方共有の大切なパブリックとは何か、パブリックなものとして大切にしなければならないものは何か、というところに地方を構成するステークホルダーが意識をまとめて、それについてのベストの解をどうやって作っていくのか、ということは非常に重要である。
日本各地の先天的なあるいは潜在的な豊かさを、文化的なものを加えて考えた時、どうしたら大きく開花して日本人全体として評価される状況を作っていくことができるのか。よき地方というものができあがり、単純に言えば、いい地方のシグマが結果的にいい日本になる、そういう部分があってもいいと思う。

◆社会のために企業は何ができるか?
企業は何のために存在するのか。非常に広い意味で答えれば、世界の役に立つためである。しかし、同時に、個々の地域、わが地方の役に立つためには何ができるのか、ということも考えなければならない。企業の中で育っていくリーダーも、その問題についていろいろ考えたり触れたりする機会を企業あるいは他の組織が作る必要があると思う。
地域の、お互いに大切にしたい公共のもの、パブリックのもの、を一緒になって作っていくというところへ企業が入っていく。いろんなレベルの組織の構成員が地域と関わって意識を高めていく、パブリックのために企業ができることを突き詰めて検討していくことが、非常に重要なことである。

◆終わりに
サイバー適塾がサイバー適塾自身としてのネットワーク拡大だけではなくて他のリーダーシッププログラムとリンクすることによって、わが国として非常に豊かなネットワーク、リーダーシップ、将来のリーダーのリンクが更に大きく成長していく。少しオーバーに言えば、よいリーダーが育つことによってよりよい地域、地方が増え、よりよい日本という社会ができあがることを理想として考えながら私自身も努力をしていきます。
皆さんのご研鑽をこれからも念じて止まない。

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