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人間力養成講座 第6回講義を開催

開催日:2003年7月28日

テーマ:「経営制度と理念の変貌~私の体験から~」

講師:川上 哲郎 住友電気工業 相談役

川上哲郎 講師講話

◆日本経済と経営の変化
 この10年間は、いろんなことを言われるが経済体制・経済情勢というものが様々に変わってきた。
 日本銀行の福井総裁は、就任早々、「今の経済は大変な変換点で変曲点、特に中期的な変換点である。かなり経済は悪いと言われているが、実態面では新しい産業にかなり明るい要素が出てきている。一方、鉄鋼、石油化学、建機や産業などの機械産業はリストラを済ませ、鉄鋼も繁栄して採算的にも良くなってきている。量的にも東アジアを中心に大変需要が拡大してきている。マクロ政策によって経済が上向くことを願っている。」と言われていた。日本経済の長期的中期的な変換点であることは間違いない。

◆経営制度の改廃と企業統治機構
 最近の商法改正で導入された「社外取締役制度」、「時価会計主義」を極度に尊重することは本当にいいのかどうか、再吟味して取り入れるべきである。
 今まで、戦後の経営者資本主義の下で、社長というのは絶対的な権力をもっている。モニタリングが必要となるので、社外取締役の仕組みを一工夫して、経営の分かっている社外の取締役や顧問の人たちと現場を知っている部課長たちを結びつけるようなことができると、経営改革も進むのではないか。

◆優れた経営者の条件
 優れた経営者は、私の経験から考えると、一つは経営理念、考え方を持っているということである。意思決定も早く、スピード経営を心がけ、意思決定に使われるシステムを経営内部に作っていることである。従来のような年功序列はやめなければならない。経営者自身が先見性、世の中の変化を理解する力を持つセンスが必要である。最後には、財務バランスや資本に関心がある人。従来のように技術、販売、営業の専門家であればいいというようなことはこれからは通用しなくなっていくであろう。社会人としての総合的なバランスのとれた資質が必要である。

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