過去の活動

教養講座 関西フィルハーモニー管弦楽団の練習見学、首席指揮者藤岡幸夫氏と西濱事務局長に講話をいただきました

開催日:2011年6月14日

場所:オーク2番街

講話内容

◆指揮者にとってのリーダーシップ
 指揮者の極意は「思うこと」。指揮台の上で、これは絶対こうだ、と思うことが大切で、迷ったりすると結局、誰もついてきてくれない。また、指揮者のせいでうまくいっていない時に、他人の責任にしてしまうと、結局、誰もついてきてくれない。
 僕はBBCハーモニックというオーケストラでデビューしたのだが、リハーサル中、ビオラの首席奏者に注文をつけた。ところが「カラヤンとも今まで何度も演奏している曲だが、そんなことは言われたことがないから従えない。」と言われ、私はそうですか、と引き下がってしまった。すると、休憩時間に私を応援してくれている団員さんが僕の部屋に来て「お前はカラヤンではなく、サチオ・フジオカだろうと。カラヤンがやったことがないからといって、はい、そうですかと引き下がるな。指揮者は自分の主張を諦めてはいけない。」と。それから僕は開き直って、謙虚に自分の主張をし、それが結果としてうまくいったのだ。指揮台に立ったら諦めず主張する、それが指揮者の仕事なのだ、と改めて認識した。

◆恩師の最後のレクチャー
 恩師の渡邉先生が亡くなる前、病床で受けた最後のレクチャーは今でも鮮明に覚えている。「指揮者というのは悪口を言われる商売。君は絶対に悪口を言ったら駄目だよ。悪口を言ったら人間の格も下がるし、音楽の品もなくなってしまう。だから、君は悪口を言われる側の人間になりなさい。」ということを教えてくださった。
 それからは実際に長いこと指揮者をしていると、本当にいろいろと演奏者に言われたりするもので、先生の教えを思いだし、誠実に、そのオーケストラのプレイヤーに対して常に愛情を持って接するようにしている。

◆大切にしている言葉
 僕の中で最も大切にしている言葉が2つある。僕のファンサイトがあって、管理者をしてくれていた友人が教えてくれたのだが、忙しい時には「それが男を磨くのよ」だった。また、インターネットで悪口を見つけて憤慨している時に、同じ友人が「バカとけんかをするな、端から見ると両方バカに見える。」ということを言ってくれた。これら2つが、彼が僕に教えてくれた、これまでの自分の人生の支えであり、とっても大切にしている言葉である。

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