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談論風発講座 行財政改革 経済界講師講話を開催しました

開催日:2010年9月01日

場所:関西経済同友会 会議室(中之島センタービル 28階)

テーマ:「日本に今、問われているもの」

講師:萩尾 千里 株式会社大阪国際会議場 社長

講話内容

■グローバル化と文明の多元性
 この数十年間、自由主義陣営が自由な取引を推進する中で、冷戦構造の崩壊により、社会主義でやってきた人たちが参入してくるという大きな変化が起こり、さらに交通や情報通信の革新も加わり、国の垣根が非常に低くなってきている。そこで、グローバル化という名前で、世界が共通のルールでやっていこうという流れになっている。垣根がなくなるのはいいことではあるが、難しい問題は、文明の根底には文化があり、交流すればするほど文化のところで違いが衝突し、摩擦を引き起こすことである。アジアでも、各国の文化の上に科学技術、経済力が加わり、それぞれの文明が出てきている。

■国家資本主義の台頭
 自由貿易を進めようとしている中で、皮肉なことに、現在活力があって発展しているのは国家介入が極めて強い国である。例えば中国は、国営で一般企業と同じようなビジネスをしている。国家の1つのシステムの中で動くので、決定が早く、戦略的にすぐに行動し、変化への対応も早い。韓国も同じことをやっており、海外で競争するときは国家が介入して分野調整をしているので、企業が思い切った投資をすることができる。

■リーダーシップ、統治能力および戦略
 今の日本は政府、企業、地域共にリーダーシップ、統治能力、戦略がない理念なき国家になってしまっている。高度成長期には、政府が産業を堂々と育成してきたが、ある時期から介入しないという優等生になった結果、戦略性がなくなってしまった。韓国や中国、アメリカでも、国を挙げて戦略的に進めている。日本には太陽光発電やリチウム電池などの有望な企業がたくさんあり、それを戦略商品として打ち出し、産業振興施策に国家が補助するなど、明確なメッセージを出さなければいけない。
 そういうことを達成する原動力になるのは、個人の志、夢であると思う。今出来ていないことをどう実現させるのかという志や夢を持つことが大切ではないかと思う。

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