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談論風発講座 行財政改革 経済界講師講話を開催しました

開催日:2012年9月05日

場所:関西経済同友会 会議室(中之島センタービル28F)

テーマ:「行財政改革のための視点・論点」

講師:更家悠介 サラヤ株式会社  代表取締役社長

講話内容

◆大阪の現状
 大阪府市の財政状況は、歳入が減少しても歳出は増加して、巨額の借金を抱えている。そうなってしまった理由の1つに、いろいろな事業に対する総括や線引きが全くないことがある。コスモタワーやアジアトレードセンターなどの事業で多額の損失を出しても、誰が責任を取るでもなく、ある部分、ガバナンスが無くて、霞ヶ関と同じ構図で各局が自由にやっていた。一方で、大阪府域、関西広域からいうと非常に重要な淀川左岸線の道路整備は、出資に対する大阪市民へのメリットがないという市の理論を押し立て、止まったままになっているなど、本当にやらなければならない投資は進んでいない。

◆大阪の進んでいる方向
 住民の誰もかれもが、あれもこれもやって欲しいと行政サービスに頼っていては、行政サービスは成り立たない。まず自分のことは自分でするという独立的な精神を国民が持ち、コミュニティでの助け合いや絆などの原則があった上で、住民に一番近い行政単位である基礎自治体が、住民のニーズを満たすサービスを提供する。できないものは、1つ上の階層の広域自治体が担当し、そこでも担えない外交や防衛などは国が行う。この考え方が近接性の原則、補完性の原則で、これに基づいて権限と役割を地域に下ろす制度の見直しが行われている。また、この原則に照らして、もう1度自治体の機能を見直して、広域的な自治体と、住民に近接した自治体に再編成しようというのが大阪都構想である。事業は内容を見直して、一部は民営化や廃止をし、基礎自治体に渡すものと広域で扱うものに区分するなど、自治体のグランドデザインに関していろいろな議論が府市統合本部で行われている。

◆行財政改革の目的
 もう1度議論の原点に戻ると、何のために行財政改革をするかということは、要は安心・安全である。そのために、医療、年金、介護、教育、道路、公安、災害対策、こういった行政サービスを、最大限の効率で、国民の納得と理解の中でどのように実現するかを考えなければならない。その原点の中に、先ほど述べた近接性の原則、補完性の原則があって、どういう統治機構が一番ふさわしいかということである。皆さんには、時代の流れの中でもう一度深く考えて議論していただければと思う。

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